痛みの科学③ 運動で痛みをコントロールできるか?
■痛みの強さは一定ではない
ここまでのコラムで、たとえ同じ条件であったとしても、痛みの強さは一定とは限らない。という説明をしてきました。
(過去コラム:痛みの科学②〜痛みの抑制機能〜)
では、痛みの強さを意図的にコントロールすることはできるのでしょうか?
■わかり易い例は鎮痛剤
痛みの強さは、理論的にはコントロールが可能です!
一番わかり易い例として、鎮痛剤が挙げられます。
みなさんも、虫歯の痛みに耐えられず経口タイプの痛み止めを飲んだり(バ◯ァリン)、肩こりの際にシールタイプの痛み止めを使うこともあるのではないでしょうか?(ボ◯タレンテープ)
痛み止めを飲んでも、痛みの原因が解決するわけではありません。
ですが、痛みが和らぎますよね?
上述したような痛み止めは、炎症や発痛物質の発生から、実際の痛みにつながる流れを阻害する作用があります。
それによって痛みを感じづらくなるわけです。
ただし、繰り返しになりますが、バ◯ァリンを飲んでも、虫歯自体が治ったわけではないですよね?痛みの原因とは関係なく、痛みの強さはコントロールできる。というお話でした。
■運動で痛みをコントロールできるか?
大前提として、痛みには意味があり(過去コラム:なぜ痛いが必要なのか?)、その原因も様々です。痛みのコントロールは、基本的には医療機関のマネージメントを受けながらの対応が必須であり、なんでもかんでも運動で痛みが良くなりますよ!という話ではないことを前置きさせていただきます。
わかりやすくするために、今回は慢性痛や、いわゆる肩こりなどの不定愁訴による痛みについての話と思って読んでいただければと思います。
その前提で言うと、運動が慢性痛の軽減に効果的であることは、医療の現場でも広く認められており、運動によって痛みをコントロールできる可能性は十分あるといえるでしょう!
■運動によって痛みを抑制するメカニズム
運動によって身体の痛みをコントロールするメカニズムの一つとして、以前、血流の改善によるメカニズムをご紹介しました。(過去コラム:痛みの科学①)
その他にも、運動によって身体の痛みをコントロールできるメカニズムがあります。
それは、運動によって筋肉から発生する分泌物による効果です!
筋肉を収縮させると、様々なタンパク質が筋肉から分泌されます。その中に、体の中の炎症を抑える効果のあるものがあるのです。
■痛みを抑制する運動とは?
まず、前述の通り、炎症を抑える効果のある分泌物は、筋肉が収縮することによって発生します。つまり、身体を動かさない不活発な日常では発現しません。
身体を動かさないと、痛みのレベルが強くなりうる。ということです。
そして、この分泌物による効果を狙う上での運動レベルは、あまり高強度でない簡単な運動と言われています。もっとも身近な例はズバリ「おさんぽ」です!
そして、30分も1時間も行う必要は必ずしもありません。
上述した分泌物は、筋肉の収縮活動をおこなってから比較的素早く分泌がスタートするようです。
このコラムを読んでくださったみなさん。
いまから10分家の周りをゆっくりとあるいてみてください。部屋の中をぐるぐる歩くのでも大丈夫です。10分歩いたあと、身体に良い感覚があったとしたら、それは筋肉から発生した分泌物のおかげともいえます!
自分の筋肉から、痛み止めが出るイメージは面白いですね!
さあ、10分間のお散歩(実験)スタートです!
END:2024.06.07
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