「正しい姿勢」は肩こりや腰痛の不定愁訴を改善するか?
関上 寅之輔上級Conditioning Coach
「正しい姿勢」が、健康のために重要だと考えている方は多いのではないでしょうか?
「私、左右の肩の高さがズレているんです。健康に良くないですよね?」
「肩がこるんですが、猫背を直したほうがいいですよね…」
そんな質問をよくうけます。
もちろん、ふとした際の姿勢が、いわゆる「良い姿勢」であることは、カラダにとって良い影響をもたらします。
良い姿勢は、見た目としても美しくカッコ良いですよね!
良い姿勢を身につけるために、日頃から意識したり、それを目的とした運動を行うことはとても大切です。
そのうえで、本日はそれと同じくらい重要とされるもう一つの要素についてお話ししたいと思います。
それは、「正しい姿勢をつくること」と同様に、「同じ姿勢を長時間続けないこと」が重要である、という考え方です。
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■「正しい姿勢」vs「同じ姿勢」
猫背などの姿勢と肩こりや腰痛には関連があると考えられていますが、「猫背そのものが直接的な痛みの原因である」と明確に断定できるほどの一貫したデータは、実はそれほど多くありません。
一方で、同じ姿勢を長時間続けることが血流の低下や筋緊張の蓄積につながり、不調を引き起こしやすいという点については、多くの研究で共通して示されています。
つまり、姿勢の“形”そのものよりも、「その姿勢をどれだけ長く続けているか」が、カラダの負担に影響する可能性が高いという傾向が見られます。
そういった点では、写真で一瞬を切り取ったような、一瞬の「正しい姿勢」を追い求めるよりも、こまめに姿勢を変えることの方が、日常の不調予防において重要であると言えるのではないでしょうか?
■同じ姿勢を続けるとカラダはどうなるのか
① 血流が低下する
筋肉は同じ長さで力んだままになると、毛細血管が圧迫され血流が低下します。
疲労物質の循環も悪くなり、栄養も行き渡らず、コリ・疲労・痛みの原因となります。
② 神経へのフィードバックが鈍る
関節や筋肉を動かさないと、その中にあるセンサーがうまく働かず、いまどんな姿勢をしているのか?という情報がうまくキャッチできなくなります。
その結果、、不要な力みが発生するなど、悪循環が発生しやすくなります。
③ 関節周囲の組織が固まる
筋膜・靭帯・関節包は、同じ位置で固定されると定着の方向に適応します。
これが「柔軟性が落ちる」という現象の一つの正体です。
■まとめ
良い姿勢を手に入れるための日々の意識や、トレーニングをすることはすごく良いことです。
そして、それと同じくらい、常にカラダを動かす意識が大変重要です。
「動く」「物」と書いて動物と読みますが、我々のカラダは、そもそも動き続けることを前提にデザインされています。
デスクワークが増えたり、カラダをあまり動かさずに生活できる便利な世の中は、健康に悪影響を与えやすい環境をつくっています。
「正しい姿勢」に過度に囚われすぎることなく、気軽にカラダを動かしていきましょう!
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・Sherrington, C. S. (1906). The integrative action of the nervous system. Yale University Press.
・O’Sullivan, P. B., et al. (2012). Posture and pain: No simple relationship. Manual Therapy, 17(1), 1–6.
・NICE. (2020). Low back pain and sciatica: Assessment and management (NG59).
https://www.nice.org.uk/guidance/ng59
END:2025.11.18
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