分離と協同を更に詳しく その2

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関上 寅之輔上級Conditioning Coach

前回のコラムでは、
機能的なカラダに必要な5つの原則のうち、
「(2)分離と協同」を動作(関節運動)で説明しました。

https://r-body.com/blog/20180901/1426/

今日は、「分離と協同」を筋肉の役割分担から説明していきます。

以前のコラム「カラダの動く仕組み」
https://r-body.com/blog/20180708/932/
で説明したとおり、

皆さんのカラダは、ざっくり下記の4つの組織で動いています。
①脳(命令を出す組織)
②神経(命令を伝える組織)
③筋肉(命令をう受けると縮む組織)
④骨


そのなかで動く(縮む)ことができるのは筋肉だけです。

みなさんがコーヒーを飲む時にコップを持ち上げる動作も、

前回のコラムのようなトレーニングを行う動作も、
すべての動作は筋肉が力を発揮(縮む)することによって起きているといえます。

ただし、
それらの筋肉はただ闇雲に力を発揮しているわけではなく、複雑な役割分担を担いながら目的とする動作を起こしているのです。

その筋肉の役割分担を知ることは、
機能的な運動を行う上で大変役に立ちます。

動作を構成する筋肉の役割分担は以下の4つに分類されます。
①主働筋(動くべき関節を動かすメインの役割)
②協同筋(主働筋を補助する役割)
③安定筋(動くべき関節の土台となる関節を安定させる役割)
④拮抗筋(主動筋が起こす関節運動の、反対の動作を行う役割)

前回のコラムで紹介した、
上から引っ張る動作を行う際の筋肉の役割分担は下記のようになります。

この4つの役割分担の、
どれが欠けても動作に問題がおきます。

前回のコラムで紹介した悪い動作の例は、
安定筋が適切な役割分担をはさせなかった例として説明できます。


このような役割分担の乱れた動作で、
いくら重い重さを引っ張ることができたとしても、
それは単に「重い重さを引っ張る」という技術が向上しただけで、
身体機能を高めているとは言えないのです。

 

「分離と協同」を筋肉の役割分担から考えると、
「動かしたい関節」である肩関節(肩甲上腕関節)を、「主動筋」である広背筋が効率的に動かすためには、
「安定して、動く関節の土台になる関節」である肩甲骨(肩甲胸郭関節)の位置を安定させる、「安定筋」である菱形筋や僧帽筋などの筋肉が、しっかり役割を果たす必要がある。
という具合に説明できます。


とにかく重りを持ち上げるという「技術」を鍛えるのか、
機能的な動作を獲得するための、筋の役割分担という「機能」を鍛えるのか。

そういった事を考えながら日々のトレーニングを行うことが大切といえます。

参考文献
National Academy of Sport Medicine Performance Enhancement Specialist Text


END:2018.09.11

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